近年、AIを活用した不動産査定サービスが増えるなか、かつて複数の不動産会社を経営していた植西剛士氏が、新たにAI無料査定サービス「カミウリ」を立ち上げました。
2025年7月現在、公式ウェブサイトは確認できないものの、主にInstagramやX(旧Twitter)などSNS上でサービス案内や問い合わせ受付が行われています。
本記事では、「カミウリ」のサービス内容や特徴、植西剛士氏の経歴などを通じて、その実態を読み解きます。
ブログ管理人:藤井
業者に言われるがままワンルームマンション×5戸、一棟マンション×1棟を購入。一時期は毎月20万のCFを得るも、保有していた不動産の家賃延滞が発生。その後延滞分を回収することが不可能になり、実質不払いに。2000万円の含み損を抱えることに。
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「カミウリ」とは
カミウリとは、植西剛士氏がスタートした、AIを活用した無料の不動産価格査定を謳う不動産売却支援サービスです。
植西氏自身のXプロフィールには「AI無料不動産価格査定のカミウリの人」と記載されており、リンクからInstagramのアカウントへ誘導するかたちになっています。
現在のところ、公開されている情報は極めて少なく、具体的な実績や口コミなども見当たりません。植西氏の新サービスということで注目する人も多いでしょうが、実態や信頼性を慎重に見極める必要があります。
カミウリのサービス概要
カミウリの事業内容は、AIを活用した不動産の無料査定・売却サポートです。相続物件や空き家など「相続等でお困りの不動産オーナー専門のサービス」であるとInstagramに記載されています。
先述のとおり、現時点では公式サイトが確認できませんが、問い合わせフォームには、Instagramのプロフィールからアクセスできるようになっています。
Xの投稿には、「どこよりも高い金額保証」という言葉も見られ、できる限り高値で売却できるとアピールしています。ただし、対応可能なエリアについては具体的な記載がありません。
投稿内でも「対応可能エリアは限られます」と触れられていることから、物件所在地によってはサービス対象外となる場合もあるようです。
カミウリの特徴
カミウリの主な特徴について、SNSで発信されている情報から整理してみます。
売却専門サービスである
カミウリは、自社を「売却専門の不動産会社」として、“オーナー様ファースト”を掲げています。Instagramのプロフィールでも「両手仲介やりません」と明言。つまり、買主側の仲介は行わない「片手仲介」を意味し、他の仲介会社のように自社で買主を囲い込むことは一切ないと強調しています。
不動産仲介業者は、自社で買主も見つける「両手仲介」が成立すると、売主・買主双方から手数料を得られるため、囲い込みをすることがあります。囲い込みが行われると、売主は広く買主を見つける機会を失って高値売却の機会を逃がし、結果的に値下げを余儀なくされるケースがあるので注意が必要です。
カミウリでは、売却専門で囲い込みがないため「顧客数は無限大」とアピール。広く市場に情報を公開して買い手を募ることで、大手不動産会社には真似できない高値売却を目指せるとしています。
相場価格の10~50%上乗せで売却スタート
カミウリでは、売却開始価格を高めに設定して、可能な限り高値での売却を目指す戦略を取っています。相場の最大150%で売却をスタートするため、うまく買いたい人が見つかれば大きな利益を得られるでしょう。
ただし、売出価格が高すぎると売れ残るケースもあるため、上乗せ幅を10〜50%と広く取り、物件の特性や市場動向に応じて見極めるとみられます。
売れ残ると、売れない物件として認識されてしまうリスクがありますからね。
初期費用はゼロ
カミウリのサービスは、初期費用ゼロで完全成功報酬型です。
不動産仲介は、一般的に成約時にのみ仲介手数料が発生しますが、カミウリも売却が成立するまで一切費用はかからないことを強調しています。
無期限売却サポート
カミウリは、サービスの特徴として「無期限売却サポート」を挙げています。詳細は明らかではありませんが、売主が焦って売却することを防ぎ、納得いく高値で売却できるよう、粘り強くサポートするという意味合いだと推察できます。
一般的な仲介会社でも媒介契約の有効期間は3ヵ月ごとに更新できますが、無期限サポートを謳うことで、売却が難しい物件を抱えている売主に安心感を与える思惑があるのかもしれません。
対応エリアは限定的
カミウリのサービス対応エリアについて、公式には明示されていません。一方で、Xの投稿で「対応可能エリアは限られます」と記載されているため、全国どこでも対応できるわけではないようです。
主要都市圏などに限られる可能性があり、エリア外の物件については依頼を受け付けていない場合も考えられます。
SNSで発信されている事例
カミウリは公式サイトを持たない(2025年7月時点)かわりに、SNS上で積極的にサービスのPRや事例の紹介を行っています。カミウリや植西氏のアカウントから投稿されている内容には、不動産売却で損をしたケースを取り上げ、「カミウリならこのような失敗を防げる」と示唆するものが目立ちます。以下に代表例を挙げてみます。
「0円と言われた空き家に550万円の価値があった」
ある業者から「価値ゼロ」と査定された空き家が、実際には550万円の価値があったという事例です。空き家の価値に気づかず、安易に手放してしまうことに警鐘を鳴らしています。
業者に価値がないと言われた空き家でも、実は相応の価格が付くケースがあるため、焦って売却する前に、まずはAI査定のカミウリへとアピールしています。
「大手に任せたら、売却後に300万円高く買いたい人がいたことを知った」
大手仲介会社なら安心と思って物件の売却を依頼したら、取引後に300万円も高く買いたい人がいたことを知って悲しくなったというエピソードです。
このケースでは、大手仲介会社が囲い込みを行い、自社の抱える買主に売ったため、高額売却の機会を逃した可能性があることが示唆されています。
カミウリは売却専門で囲い込みを一切しないため、顧客数は無限大。大手不動産会社は(自社のサービスに)勝てないだろうとアピールしています。
「焦って売却したら、1,500万円も高い金額で転売されていて泣いた」
両親から相続したマンションを焦って売却したところ、1週間後に購入者が1,500万円も高い価格で転売していたことに気づいて後悔したという事例も紹介されています。
焦って安易に売却することに警鐘を鳴らし、カミウリに相談すればそのような後悔をさせないとアピールしています。
これらの事例は「実例」として紹介されており、具体的な数字を交えているため、売却を検討中の人は興味をそそられるでしょう。しかし、いずれも具体的な物件などは明かされておらず、客観的な裏付けを取ることはできません。
また、SNS投稿の末尾には「実例ですが、全てを保証するものではありません」といった注意書きも添えられています。
植西剛士の経歴と過去の評判
ここでカミウリを運営する植西剛士氏の経歴について整理し、過去の評判についても確認しておきましょう。
植西剛士の経歴
植西剛士氏(1984年生まれ)は、立命館大学卒業後、名証セントレックス上場のマンション開発・販売会社であった「エスグランドコーポレーション」に入社。その後、別の不動産会社に勤務したのち、2014年3月に不動産売買仲介会社の「Vita Consulting」を設立して独立しました(現在は休眠状態)。
2015年7月、不動産投資会社である「HEARTS Asset Management(後のReVie)」を設立。同年11月には、関連会社としてサブリース事業を行う「BLAZE株式会社」も設立しています。
HEARTS Asset Managementは2018年に「株式会社ReVie(レヴィ)」へ社名変更し、投資用マンションの販売数約1,000戸・売上総額約200億円を3年で達成する急成長を遂げました。
しかし、急成長の裏ではトラブルの火種を抱えていました。2022年頃からReVieが販売した物件のオーナーに対し、家賃保証を滞納するトラブルが多発。一部オーナーがSNS上で問題を告発したことから、「第2のかぼちゃの馬車事件」として注目を集めました。
社名はトラブル発覚後の2023年1月に「Capital(キャピタル)株式会社」へ、同年3月には「INFINITY(インフィニティ)株式会社」へと短期間で立て続けに変更され、植西氏は2023年3月9日付で代表取締役および取締役を辞任しています。
参考URL:https://biz-journal.jp/company/post_339916.html
過去の評判
上記のような経緯から、ReVieやBLAZEに対する世間の評価は非常に厳しいものがあります。Googleマップ上のReVieやBLAZEの会社ページには、星1評価の口コミが複数投稿されていますね。カミウリの利用を検討している方は、参考までに見てみると良いでしょう。
また、Xで植西氏の名前で検索すると、いろいろと情報がヒットするようです。
まとめ
新しくスタートしたカミウリは、「売主ファースト」「囲い込み一切なし」「高値売却」など、一見すると不動産売却を検討する人にとって魅力的なキーワードを並べています。
しかし、まだサービス開始から間もないこともあり、「カミウリ」の実績や具体的な信頼性は明らかになっていません。
カミウリのAI無料査定と高値売却がどのくらい実現し、信頼を得られるのか、今後の動向を注視したいところです。利用者側としては、他の仲介会社と比較するなど、慎重な姿勢を取ることが肝要です。
ワンルームマンションは今すぐ売却しよう!
ワンルームマンション投資を取り囲む環境は絶望に近いです。
- 物件の老朽化と共に家賃は下がり、空室率は上がる
- 次々に新築物件が立ち、競合物件が増え続ける
- 修繕積立金は上がり続ける
- サブリース契約は負け確
- 人口減少時代に不動産投資はナンセンス
ざっと挙げただけでも、これほどのデメリットがあります。毎月数万円の手出しを出しながら35年保有すれば、ローン完済時には1物件あたり1,000万円近い損失に。ワンルームマンション投資は、いつまで経っても損益分岐点が来ない投資と言えます。
だからこそ、ワンルームマンションはすぐに売却することが損失を最小限に抑える方法です。
赤字覚悟の売却の前にできること
ワンルームマンションを手放したい!けど残債は嫌だ!
と、考えている方も多いと思います。ワガママに見えますが、物件オーナーにとっては切実な願いですよね。。
実は売却による傷を浅くするために、できることが二つあります。
1.家賃を上げる
まず一つ目は家賃を上げること。
ご存知の通り、投資用物件の売却額は収益還元法で大体の目安が決定されます。仮に利回り4%で家賃が10万円なら、
10万円 x 12ヶ月 / 4%(利回り) =3,000万円
と言った具合です。家賃が1万円上がれば理論上は物件価格が300万円引き上がります。これを利用して家賃を引き上げて残債を減らす方法です。
とは言え、日本は借地借家法によって借主の権利が強く守られています。家賃の引き上げには色々と工夫が必要なケースもありますので、もし不安であれば相談に乗っています。
2.サブリース契約を解除する
サブリース契約に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
サブリース契約を結んでいる物件は、
- 家賃の決定権がない
- 一方的に家賃を下げられる
- 入居者情報が開示されない
- サブリース手数料で家賃が割安
といった、負の側面が非常に強いです。その影響で、サブリース物件は査定額が低くなります。
サブリース契約を解除しようにも、管理会社に解除を要求しても門前払いが関の山。解約手数料として2年分の家賃を請求される事例も。。
とはいえ、全く不可能かというとそうでもありません。サブリース解除が得意な弁護士や交渉が上手い管理会社と組めば可能性はあります。
こちらも何かサポートが必要だったら相談に乗れますよ。
売却先の選定は慎重に!
不動産会社の中には悪徳な会社が本当に多いです。
- 買い取った後に、物件にイチャモンをつけて損害賠償や値引きを強要する
- 次のオーナーと口裏を合わせ、物件に瑕疵があるとしてお金を要求する
などが実例ですね。慌てて適当な業者に売却して足元を掬われないためにも、管理人が考える信頼できる不動産会社の選び方をご紹介します。
- 不動産一括査定サイトなどは利用しない
車などは複数社に査定を出すことが一般的ですが、こと不動産では危険な業者があまりにも多いのが現状。一括査定では各社の信頼性などが確認できないため、トラブルに巻き込まれるリスクが高まります。 - DM・電話営業・Web広告などで宣伝、営業してくる業者はNG
市場価格で、かつトラブルなく買い取ってくれる業者というのは営業も広告宣伝活動もしていないケースが多いです。なぜなら、お客さんの方から買ってください、とくるわけですからね。
不動産会社にも商流があります。
もちろんエンドユーザーまでの間に入る業者数が減れば、高値で買い取ってもらえる可能性は高まります。私の場合は、仕入れと売却、両方に強い会社に売却できたこともあり、残債以上で売れた物件もありました。売却先選定も重要ですよ。